売上げを10倍伸ばすホームページの作り方

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ここにアップしたのは、10年以上前に私が書いた文章です。

当時、ホームページが世の中に出てきたばかりということもあり、そのあるべき姿、作り方をめぐって制作者の間でちょっとした混乱が続いていました。たとえばトップページの見せ方、あるいはプラグインの必要性などインタフェースをめぐる意見の不一致です。

その一方で、当時の私にはマーケティングの側面からとらえ直せば、そうした混乱は容易に収められるという確信がありました。またそのような混乱は誕生したばかりのホームページ制作業界の発展にとっても有害であり、できるだけ早急に収めるべきであるとも考えていました。そうして書かれたのがこの文章です。

時代の変化とともにいまでは古くさく感じられる部分も少なくありませんが、ここで述べているのはほとんどが原理原則であり、それらは今もなお十分通用するものです。私はここにある文章がいまもなお読む人に少なからぬ洞察を与えてくれるものと自負しています。

これは当時、有料(1,000円)で希望者に頒布したものですが、あれから10年以上の時間が経過したこともあり、今回全文を無料で公開することにいたしました。この小文が、世の中のホームページをさらに使いやすいものにするヒントとなれば幸いです。

 

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売上げを10倍伸ばすホームページの作り方

 

この文章は、ネット上での直接販売を目的にした「オンラインショップ」の制作方法を説き明かしたものです。したがって、ここではたんなる企業PRのためのページや、とにかく人を集めることを目的としたエンターティメント的なページ、あるいは個人の趣味的なページについては対象外としました。それらはオンラインショップとは目的が異なりますので、また別の方法論にしたがって制作されなければならないからです。

しかし、あなたがもしホームページを使って商品を直接販売しようとしており、しかもできるだけ売上を伸ばしたいと考えているなら、この小文はきっと役に立つはずです。もっともここでは、アクセス数を増やす方法については一切ふれていません。そのかわり、いったんアクセスしてきた人に対しては、どのようにすれば効果的に商品をアピールし、実際の注文にまで結びつけることができるか–つまりいかにしたら「注文率」を高めることができるかについての原理とそれから派生するさまざまなノウハウを紹介しています。 たんに人に見せるだけの「見栄えの良い」ホームページではなく、あくまでも「売る」ための実利最優先のホームページを作りたいとお考えの方には、この小文は十分に価値のあるものとなることでしょう。
*なお、ここでは特別にことわらない限り、ホームページといった場合、オンラインショップをさすことにします。

第1章 — ホームページとは一体何か?

アクセス数と注文数、どっちが大事?

ホームページを立ち上げた企業、個人にとって現在最大の関心事のひとつとなっているのがアクセス数です。アクセス数とはいうまでもなくホームページを訪れた人の数ですが、これが多ければ多いほど人気の高いサイト(ページ)ということになります。したがってアクセス数の多いサイト、イコール成功したサイト、という図式が一般にはでき上がっているようです。でも、ちょっと待ってください。本当にそうなのでしょうか。

仮にここに「そば」を売るホームページがあるとしましょう。そして、1ヵ月の間にのべ1万人のアクセスがあったとします。ところがもし、そのうちただの1人も「そば」を買ってくれなかったとしたらどうでしょう。この「1万人」という数字にはいったい何の意味があるのでしょうか?

(仮想店舗ではない)現実の商人の世界には、このことを端的に表わした言葉があります。「冷やかし」です。「ウインドウショッピング」の客ならまだ今後に期待が持てますが、冷やかしの客はほとんどの場合、商売には結びつきません。もちろん、誤解しないでいただきたいのですが、アクセス数にまったく意味がないといっているわけではありません。アクセス数が増えなければ注文数だって増えないのは自明の理です。それに一度は見てくれたということは、将来、何らかの反応が返ってこないとも限りません。

しかしここで問題にしたいのは、100人のアクセスがあったとしてそのうち何人が実際に商品を注文してくれたか、という「注文率」のことです。あたりまえのことですが、いくらアクセス数が多くても実際に注文してくれる人がいなければ商売にはなりません。これは実際に商売を行っている人にとっては、いまさらいわれなくても身にしみて分かっていることではありますが、いざホームページを作ろうという段になると案外忘れがちですので、十分注意する必要があります。

ホームページ イコール ダイレクトメール仮説

それでは、注文率の高いホームページとは、具体的にどうあるべきなのでしょうか。それに対する答えを出す前に、まずはホームページとはいったい何なのか、というところから検討してみましょう。もちろん結論からいえば、それはまったく新しいマーケティング手段であることは間違いありません。とはいえ、最初からそう決め付けてしまっては取りつく島もありませんので、ここでは従来のマーケティング手段との比較対照の中から答えを探っていくことにしましょう。

筆者の考えではホームページは、イコール、ダイレクトメール(または通販カタログ)、ととらえるのが一番よいと思います。もちろん、ダイレクトメールや通販カタログの場合は、向こうから勝手に情報が送られてきますし、ホームページの場合は逆にこちらから「取りに行く」必要があるという、見かけ上の大きな違いはありますが、それでも両者は基本的に同じと考えてよいのではないでしょうか。その最大の理由は、どちらもそれ自体で「販売」を完結することができる、という点にあります。これは、他の広告手段、たとえばTVコマーシャル、新聞雑誌の広告、さらに通販用でない一般のカタログなどと比べるとよく分かります。

TVコマーシャルや新聞雑誌広告、さらにカタログなどは、いずれも役割分担があって、それぞれ商品の存在を知らせたり、商品の説明を行うという働きをしています。そして、ここが重要な点ですが、それらはすべて販売促進という一連の活動の中で特定の役割を担うものであって、いずれも単独では、「販売」を完結させることはできません。このことはTVコマーシャルや新聞雑誌広告を見たからといって、あるいはカタログを読んだからといって、ただちにその場で商品を注文できるわけではないことを思い出してもらえば誰しもご理解いただけるのではないでしょうか。普通、商品を手に入れるためには、私たちは必ずいったん店舗に出向いてそこで注文の手続きをとらなければなりません。そうして初めて私たちは欲しい商品を手に入れることができるのです。これに対して、ダイレクトメールや通販カタログは、商品の説明から注文まですべてそれ自身で完結させることが可能であり、一歩も家の外へ出ることなく商品を手に入れることができるのです。そしてそれはいうまでもなく、オンラインショップが持つ最大の特徴でもあるのです。

仮想店舗という考え方は正しいか?

参考までにもうひとつ検討してみましょう。それは「仮想店舗」という考え方です。一般にオンラインショップは、仮想店舗と呼ばれることが多く、実際そのようにとらえている人も多いようです。ーー現実の店舗の代わりにサイバースペースの世界に出店した文字通りの「仮想店舗」ーー。たしかに概念的にはこれが一番しっくりくるような気がしないでもありません。そしてもしホームページ イコール(仮想)店舗であるなら、そこに必要なのは、広告的なノウハウではなく、むしろ店舗設計のノウハウに近いものであろうと予想されます。しかし、よくよく考えてみますとホームページと現実の店舗には大きな違いがあることが分かります。

もっとも大きな違いは、仮想店舗としてのホームページには店員がいないということです。これはレストランや食堂などのケースを考えるとわかりやすいでしょう。一般にレストランや食堂では客が店内に一歩足を踏み入れた時点で、すでに料理を注文する決心がついています。仮にメニューを見て、欲しい料理がないからといって店を出る人はそう多くないでしょう。ところが、ホームページの場合はメニューを見ていいものがないと分かったら、誰に気がねすることもなくさっさと店を出てしまえるのです。

こう考えると、ホームページを現実の店舗の延長線上に置くことにはちょっと無理があるように思います。これはやはり自宅でゆっくりくつろぎながら欲しい商品を選べるダイレクトメールや通販カタログに近いものといったほうがよいのではないでしょうか。

それに、実際のホームページを見ても3D技術を使ったヴァーチャル感覚あふれた「仮想店舗」というものは現状ではまだ少なく、むしろ平面的な、つまりカタログ的な印象を受けるものが大部分であるということもホームページ=ダイレクトメール説を補強するものといってよいでしょう。

第2章 — 「売る」ホームページ作成のための基礎知識

AIDMA理論について

商品を売る技術である広告にはいくつもの理論がありますが、なかでももっとも有名なのが、AIDMA(アイドマ)理論です。これは、広告が消費者に及ぼす(べき)作用を分析したもので、それぞれ、Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字をとったものです。通常、広告に接した人は、まずデザインで目を引かれ(Attention)、ついでキャッチフレーズで興味を抱き(Interest)、ボディコピーを読むことで(商品に対する)欲求をかきたてられ(Desire)、さらに(商品名を)記憶に焼き付け(Memory)、そして最終的に購買行動を起こす(Action)、という順序で態度を変容させると考えられています。AIDMAはそれを一連の心理的過程として理論づけたもので、現在、すべての広告は原則としてこのAIDMAの基本にのっとって作られているといっても過言ではありません。

ところで、このAIDMAの基本はマーケティング活動全般にも応用されています。通常、セールスプロモーションのキャンペーンを行う際、TVコマーシャルは、Attention(注意)を引き、新聞雑誌広告は、Interest(興味)を抱かせ、カタログは、Desire(欲求)をかきたて、そして店頭でのプロモーション活動がAction(購買行動)を起こさせるという具合にそれぞれ役割を分担しています。もちろん、実際にはこれほど単純なものではありませんが、おおざっぱな理解のためにはそう考えてさしつかえないでしょう。第1章で、TVコマーシャルや新聞雑誌広告、カタログなどがそれ自体では「販売」を完結しない、と述べたのも、実はそういう意味からです。

ダイレクトメールが機能するプロセス

これに対してダイレクトメールは、それ自体で販売を完結します。では、それはどのように機能するのでしょうか。

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